インフルエンザ発症。レース直前で何が起きたか
レース直前に体調を崩す。
ランナーにとってこれほどメンタルを揺さぶられる出来事はない。
今回、ハーフマラソン直前にインフルエンザBを発症した。
幸い高熱は出なかった。咳もほぼなし。いわゆる“軽症”。
しかしGarminの数値は正直だった。
トレーニングレディネスは12。
HRVは大きく低下。
体感は「動けそう」。
データは「まだ回復していない」。
このズレこそが感染症回復期の難しさだ。
この記事では、早期回復のための対策を、ランナー視点で整理する。
初動がすべてを決める
回復スピードを左右するのは最初の48時間。
初期段階で抗インフルエンザ薬のゾルフーザを服用。
ウイルス増殖を早期に抑えるタイプの薬で、長期化を防ぐ可能性がある。
そして徹底したのは次の3つ。
・完全オフ(罪悪感ゼロ)
・睡眠最優先
・水分補給の強化
「軽症だから少し走れるかも」という思考は切り捨てた。
感染症は症状の強さと内部ダメージが一致しない。
免疫と自律神経は見えないところで全力稼働している。
ここで無理をすると、回復が一気に遅れる。
HRVが教えてくれた“見えない疲労”
発症後、HRVは急落。
HRV(心拍変動)は自律神経のバランスを示す指標。
感染症時は交感神経優位になり、ほぼ確実に下がる。
重要なのは「下がること」ではない。
見るべきは、
・下げ止まるか
・わずかでも上向くか
症状が軽くてもHRVは落ちる。
症状が消えてもHRVは数日遅れて回復する。
このタイムラグを理解しているかどうかで、焦りは大きく変わる。
脱水が回復を遅らせる
今回もっとも影響を感じたのは脱水。
筋肉痛は早めに抜けた。
しかし頭の重さが残った。
原因は水分と電解質不足。
発熱がなくても、
・食事量低下
・発汗
・電解質バランスの乱れ
・グリコーゲン枯渇
は起きる。
水だけでは足りない。
意識したのは、
・電解質入りドリンク
・味噌汁
・やや塩分多めの食事
・炭水化物をしっかり摂る
尿の色が薄いレモン色になるまで補給を続けた。
これだけで頭の重さは明確に軽くなった。
走らない勇気が最短ルート
ランナーにとって一番難しいのは休むこと。
特にレース前。
「少し動いた方が回復するのでは」
「完全オフだと眠れない」
実際、オフにすると夜眠れないという逆説が起きた。
普段の運動が副交感神経へのスイッチになっているからだ。
しかしここで強度を入れるとHRVはさらに落ちる。
実施を予定しているのは、
・20〜30分の超ゆるジョグを1回
・あとは散歩
・刺激ゼロ
終わったときに「もっといける」と思えるレベルで止める。
回復期の目的は走力向上ではない。
神経を整えること。
回復判断の3つの基準
判断基準はシンプル。
① 安静時心拍が通常+5以内
② HRVが底打ちしている
③ 頭の重さが消えている
この3つが揃えば楽しむレースは可能。
揃わなければDNSも選択肢。
数値だけでなく主観も入れる。
どちらか一方に偏らない。
症状の軽さと回復度は比例しない
熱がなくても自律神経は乱れる。
咳がなくてもHRVは落ちる。
身体は見えないところで戦っている。
回復は鍛えるものではない。
待つもの。
この感覚を受け入れられるかどうかで、長期的な走力が変わる。
レース直前でも間に合うのか
感染症後のHRVは3〜5日で戻り始めることが多い。
1週間で通常域に近づくケースもある。
重要なのは、
・余計なダメージを増やさない
・回復に全振りする
今回のテーマはPBではなく「楽しむこと」。
この視点に切り替えた瞬間、焦りは消えた。
早期回復のためにやったことまとめ
・初期段階で適切な治療
・完全休養
・電解質を意識した補給
・炭水化物を恐れない
・Garminは参考にするが盲信しない
・睡眠環境を整える
特別なことはしていない。
やらないことを徹底しただけ。
今回の学び
インフルエンザは敵ではない。
身体の防御反応。
HRVの低下も正常な反応。
回復とは筋肉ではなく神経の再構築。
ランナーの最大の武器は我慢。
レースはいつでもある。
身体は一つしかない。
早く戻る方法は、無理をすることではなく、
最短距離で回復に集中すること。
今回の経験は、確実に次のシーズンの土台になる。

