鴻巣パンジーマラソンとはどんな大会か
鴻巣パンジーマラソンは、埼玉県鴻巣市で開催されるハーフマラソン大会。規模は中規模クラス。都市型マラソンのような華やかさはないが、運営は堅実で落ち着いた雰囲気の大会だ。
まず強調したいのは、この大会は河川敷コースではないという点。実態は農道コース。田畑に囲まれ、遮るものがほとんどない環境を走る。高低差はほぼなく、数字だけ見れば「記録が出そうなフラットコース」に分類される。しかし実際に走ってみると、その印象は少し変わる。
派手さよりも実直さ。快適さはあるが、決して楽ではない。これが第一印象だ。
駐車場は非常に優秀。アクセス面のストレスは少ない
駐車場は埼玉県警察運転免許センターが開放される。
ここがまず大きな強み。
事前申込不要。
無料。
台数も十分。
しかも競技場の向かい。
埼玉県民なら一度は訪れたことがある場所で、ナビ設定に迷うこともない。駐車場から競技場まではほぼ目の前。寒い時期の大会ではこの導線の短さは大きなメリットになる。
帰りは多少の渋滞はある。これはどの大会でも同じ。ただし、全く動かないレベルではない。「まあこんなもの」という範囲に収まる印象だった。
アクセス面は間違いなく高評価。ここに関しては不満はほぼない。
トイレ事情。スタート前は快適、レース中は要注意
競技場のトイレは使用していないが、免許センター側のトイレはガラガラだった。並びゼロ。これはかなりありがたい。
大規模大会だとスタート前のトイレ待ちで神経を削られることが多いが、この大会ではそのストレスはほぼ感じなかった。
一方で、レース中のトイレは目立つ場所には見当たらなかった。設置されていた可能性はあるが、走っている最中に視認できる位置にはなかった印象だ。腹に不安がある人はスタート前に済ませておくのが無難。
スタート前は優秀。レース中はやや情報不足。このあたりは事前準備が鍵になる。
給水はオーソドックス。混雑は少ない
給水は全部で5カ所。ハーフとしては妥当な数。
内容は水とスポーツドリンク。余計なエイドはない。純粋なロードレース仕様だ。
参加人数が極端に多くないためか、混雑のストレスはほぼ感じなかった。取り損ねる心配も少なく、落ち着いて給水できる環境。ここは記録狙いのランナーにはプラス材料だ。
派手さはないが、必要十分。実務的な給水体制と言える。
コースはフラット。しかし本質は「風」
高低差はほぼない。理論上は高速コースだ。
だが、この大会の本質はそこではない。
問題は風。
3月開催。春風の季節。農道コースゆえに遮る建物がない。競技場を出ると、あっという間に田畑に囲まれた直線へ放り出される。
キャップが飛ばされそうになるレベルの強風。理論上、向かい風と追い風の距離は同じはずだが、体感では向かい風区間が延々と続く。特に長い直線で真正面から風を受けると、精神が削られる。
脚よりも先に心が削られる。
これが正直な感想だ。
序盤の狭さと位置取りが鍵
スタートは陸上競技場。その後すぐに農道へ入る。
問題は、集団がばらけないうちに狭い区間へ突入する点。前方に位置しないと、ペースを作りづらい。周囲に合わせざるを得なくなる。
理想ペースに乗れず、序盤から借金生活。そこに向かい風が重なる。
この大会は走力だけでなく、ポジショニングも重要になる。
のんびり入って後半上げる、という展開は風次第では難しい。最初の数キロが思った以上に大事だ。
応援は多くないが、温かい
街中をほとんど走らないため、沿道の応援人数は多くない。都市型マラソンのような熱狂はない。
それでもスタートからゴールまで、地元の方がぽつぽつと応援してくれている。派手ではないが、温度はある。のどかな空気感の中で淡々と走る時間は、この大会らしさでもある。
制限時間と関門は初心者にやや厳しめ
制限時間は2時間30分。
一見すると標準的だが、第1関門が約11km地点。キロ7分前後が目安だった印象。序盤の混雑や向かい風を考えると、サブ2.5ギリギリ層にはややプレッシャーがある設定だ。
初心者が「楽しみながら完走」を目指すには、少しシビアかもしれない。
総合評価:修行レースを求める人にはおすすめ
アクセスは優秀。駐車場も快適。運営も堅実。フラットコースで条件が揃えば記録も狙える。
だが、風という不確定要素がこの大会を一段階難しくしている。
正直、走り終えた直後の感情は「辛い」が勝つ。次も出るかと聞かれれば即答はできない。
それでも、修行と捉えるなら話は別だ。
風に耐え、長い直線に耐え、己と向き合う。そんなレースを求める人には、この大会は悪くない。むしろ適している。
華やかさより鍛錬。
楽しさより強さ。
鴻巣パンジーマラソンは、そういうレースだ。

