はじめに:ランナーは風邪をひきやすい
マラソン練習をしていると、なぜか風邪が長引く。
これは気のせいではない。
高頻度のランニングは免疫を削る。
特にフルマラソンやウルトラマラソンを見据えた練習期は、体力がつく一方で「余力」は削られていく。
・喉が痛い
・痰が出る
・熱はない
・でも治らない
この状態、ランナーなら一度は経験があるはずだ。
風邪をひいたとき、ランナーは何を判断材料にするか
多くの人は次の3つを見る。
- 症状(喉・鼻・痰・熱)
- データ(Garminの睡眠・HRV・心拍)
- 気持ち(走りたいかどうか)
結論から言うと、**一番正確なのは「本能」**だと思っている。
ただし条件つきだ。
本能は最強だが、常に信用していいわけではない
「走りたいから走る」
これはランナーの本能でもあり、罠でもある。
睡眠不足のとき
仕事で追い込まれているとき
疲労が抜けていないとき
この状態だと、本能は簡単に狂う。
本当は休むべきなのに
「気合でいける」
「走ればスッキリする」
と判断してしまう。
だから本能は
睡眠というフィルターを通したときだけ信用する
これが自分の結論。
睡眠は「体が出す結論」
Garminの睡眠スコアは完璧ではない。
でも、風邪をひいたときは驚くほど正直だ。
- 睡眠時間は取っているのにスコアが低い
- 中途覚醒が多い
- 深い睡眠が伸びない
これは
「まだ回復していない」
という体からの答え。
逆に、症状が少し残っていても
- 目覚めが軽い
- 夜中に起きない
- 朝の体が静か
この辺が揃ってくると、回復はかなり進んでいる。
痰が出始める=悪化ではない
風邪の後半でよくあるのが「痰が出る」。
一見、悪化しているように感じるが
これは峠を越えたサインであることが多い。
炎症が落ち着き
不要物を外に出すフェーズに入った状態。
このタイミングで無理に走ると逆戻りするが、
しっかり休めば回復は一気に進む。
風邪薬と脱水の関係はランナーにとって致命的
総合感冒薬を飲むと、鼻水がピタッと止まる。
あの「鼻も喉もカラカラになる感じ」。
あれは
分泌を止めているだけ。
汗・呼吸・尿は止まらない。
つまり、ランナーが飲むと
「静かな脱水」に入りやすい。
しかも自覚しづらい。
レース中にロキソニンを飲むのは危ないのか?
結論:危ない寄りのギャンブル。
ロキソニンなどのNSAIDsは
- 痛みを消す
- 腎血流を下げる
- 脱水と相性が悪い
短時間なら成立するケースもあるが、
フル後半・ウルトラでは代償が大きい。
「走れてしまう」状態になるのが一番怖い。
ウルトラで胃腸薬が使われる理由
一方で、ウルトラマラソンでは胃腸薬を使う人が多い。
これは理にかなっている。
胃腸薬は
- 痛みをごまかさない
- 発汗や体温調節を邪魔しない
- 胃腸を「守る」薬
つまり
本能センサーを壊さない。
ウルトラは誤魔化した人から壊れていく競技。
胃腸を守るのはズルではなく戦略。
下痢止めはなぜ危険なのか
下痢止めは要注意。
下痢は
「今は受け付けない」
という体からの警告。
それを薬で止めると
- 腸に内容物が滞留
- 腹痛・吐き気
- 熱が逃げにくくなる
特に高発汗状態ではリスクが跳ね上がる。
使うなら
・寒冷環境
・水分が十分
・短時間
かなり限定的。
経口補水液(ORS)はランナーの味方
ORSは
「あり寄りのあり」どころか、
状況次第で最適解。
- 脱水を治す
- 胃腸に優しい
- 体を誤魔化さない
風邪気味
発汗過多
食欲低下
この全部に刺さる。
レース中は
ORS+補給
が基本。
風邪薬はいつやめるべきか
レース1週間前。
ここが一つの明確なライン。
この時点からは
「治す」より
「整える」フェーズ。
風邪薬は
- 水分調整を狂わせる
- 睡眠の質を誤魔化す
- 本能を鈍らせる
役目は終わっている。
じゃあ、いつからジョグしていいのか
基準は驚くほどシンプル。
体が「走りたくないな」と少しでも言ったらNG。
迷いが出る=未回復。
逆に
- 走らなくてもいい
- 葛藤がない
この状態になった日がジョグ解禁。
最初は
20〜30分
鼻呼吸
余韻ゼロ。
結論:データより症状より、本能。ただし睡眠込みで
最終的な優先順位はこう。
- 睡眠(体の結論)
- 本能(睡眠を通したもの)
- データ(補助)
- 症状(部分情報)
風邪とマラソンは相性が悪い。
だからこそ、誤魔化さない判断が一番強い。
「走れるかどうか」ではなく
「走ったあと、回復が進むか」。
この視点を持てるようになると
失敗は一気に減る。

