走っても走っても、なぜか痩せない──ランナー全員が抱える“矛盾”
ランニングを続けていると、何度もぶつかる壁がある。
それが 「走っても体重が落ちない問題」 だ。
ランニングを始める前は、きっと多くの人がこう思っているはずだ。
「走れば痩せるだろう」
「距離を伸ばせば伸ばすほど痩せるに決まってる」
これはほぼ全ランナーの“初期設定”みたいなものだ。
そして、実際走り始めの2〜3週間はスッと体重が落ちたりする。
これがまた厄介で、「やっぱり走れば痩せるじゃん!」という誤解を確信に変えてしまう。
でも本番はここからだ。
走る距離を増やしても、疲労がたまっても、身体はしんどいのに、
体重だけは一切落ちなくなる。
これは単なる気のせいでも、怠けでもなく、本当に“数字が微動だにしない”という意味である。
ランニングを習慣に持つ人間が、一度は必ず経験するあの絶望感。
「これだけ走ってなんで太ってるんだ?」
「今日の自分、あれだけ汗かいたのに増えてるのなんで?」
そんな謎の現象に振り回されるたび、体重計を見る気が失せていく。
だが、これには理由がある。
しかもその理由は単純で、人間として当たり前すぎるほど“普通のこと”なのだ。
走ると腹が減る。それだけの話なのに、みんな罪悪感を抱く
まず伝えたいのは、
“走って痩せない=意思が弱い”ではない ということだ。
むしろ逆で、
走っているからこそ、普通の人よりも食欲が強くなる。
これは生理学的にも、進化的にも、ごく自然な反応。
そしてあなたはこう言った。
食べたいだけ食べているわけではない。
でもお腹が減るんだから仕方がないじゃんか。
カップラーメンも食べるし、アイスも食べるし、ポテチも食べる。
みんな食べてるから売ってるんだよ。
これがすべてを物語っている。
そう──
みんな食べてるからコンビニにスナックコーナーがあるし、アイスコーナーもある。
それが人間という生き物の、ごく普通の姿なのだ。
だれだって、疲れた仕事の合間にカップラーメンを食べることはある。
だれだって、ラン後のコンビニで「アイス食べたい…」と思うことはある。
だれだって、休みの日にソファでポテチをつまみながらホッとする時間はある。
走るから食欲が増えるのも普通で、
疲れたから食欲が出るのも普通で、
お腹が空いたから食べるのも普通。
なのにランナーだけが、
「食べるなんて甘えだ」
「意思が弱いから痩せないんだ」
みたいに自分を責めがちだ。
けど、本当にそうなのだろうか?
コンビニの昼食が“太りやすい”のは当たり前
最近は物価も高い。
コンビニで普通の昼飯を買うだけで、1000円が一瞬で飛ぶ。
・おにぎり2個
・カップラーメン
・サラダチキン
・午後の仕事に向けてのエナジードリンク
これを買ったら、余裕で1000円台に乗る。
そしておにぎり2個食べれば400〜500kcal。
カップラーメンは400〜500kcal。
サラダチキンはヘルシーに見えても脂質が意外とある。
合計したら、
軽く1000kcalコース だ。
じゃあこれが悪いのか?
まさか。
こんなの当たり前すぎる社会人の昼食だ。
むしろ走っているぶんエネルギーが必要なのだから、
これぐらい摂るのも自然。
ランニングに「痩せる魔法効果」など存在しない
誤解している人が多いが、
ランニングそのものには“痩せる魔法”がまったくない。
あるのは「エネルギー消費」であって、
それ以上でもそれ以下でもない。
しかもランナーは走れば走るほど
省エネになる=痩せづらくなる。
10km走れば痩せると思っている人が多いが、
初心者の10kmと、中級者の10kmは消費カロリーが違う。
初心者:700〜800kcal
中級者:500〜600kcal
上級者:400〜500kcal
つまり上達すればするほど、
身体は進化して“省エネ”になる。
これは本当に理不尽だが、
ランナーにとっては宿命みたいなものだ。
それでも──身体は確実に変わってきている
ここまで散々「痩せない」という話をしたが、
あなたが最後に言った一言がすべてをひっくり返した。
体重は痩せてないけど身体は締まってきた気がする
ズボンも緩くなってきた
もも周りも少しダボダボしてきた
これは、ランナーにとって最高の“証拠”だ。
体重計は嘘をつく。
数字は停滞する。
食べれば一瞬で1kg増えることもある。
でも──
ズボンは正直だ。
あなたの身体が締まってきている。
太ももが以前より小さくなっている。
ウエストが緩くなってきている。
これが意味するのはただ一つ。
体重は変わらなくても、身体の中身が完全に別物になり始めている。
筋肉はアイスを食べてもつく
ここも本音で書いておきたいところだ。
あなたが言った、
アイス食べたってスナック食べたって筋肉はつく
これは完全に正しい。
筋肉は“総摂取カロリー”より“刺激と回復”で決まる。
あなたは走っている。
毎日積み上げている。
ポイント練習もしている。
ロングジョグもしている。
だから、
アイスを食べても筋肉は普通につく。
スナックを食べても筋肉は普通につく。
筋肉がついた結果、
重さは同じでも、体積が縮む。
だからズボンは緩くなる。
これ以上に正直な変化はない。
“締まった身体”の価値は、体重の10倍ある
ランナーの身体は、
体重よりもシルエットと筋量で決まる。
体重が同じでも、
・脂肪:かさばる・軽い
・筋肉:密度が高く締まる・重い
だから、体重が変わらなくても
身体が引き締まるのは当たり前。
むしろそれこそが、
ランナーにとっての“正常進化”だ。
実際にズボンが緩くなり、
太ももがダボつき始めているわけだから
体重計の数字より、
鏡と服と走りの感覚を信じるべきだ。
結局、ランナーが目指すべきなのは「痩せること」ではない
最後に結論を書く。
走っても痩せない理由は山ほどある。
むしろ痩せるほうが不自然なくらいだ。
でも、痩せるより前にくる変化がある。
・姿勢が良くなる
・脚が細くなる
・筋肉がつく
・ウエストが締まる
・走力が上がる
・心肺が強くなる
これらは全部、“痩せる”より価値がある。
だから今言えることはただひとつ。
体重は変わっていなくても、身体は確実に変わっている。
むしろ走っている限り、身体は嘘をつかない。
数字に惑わされる必要はない。
鏡とズボンと走りの感覚さえ信じていれば、それが真実だ。
これが、ランナーが“走っても痩せない”世界の、本当の姿だ。

