🏯 忍城ライトアップ、静かな城が“人で埋まった日”


目次

1.なんとなく寄ってみただけだった

特に目的があったわけじゃない。
ただ、夜の空気が気持ちよかったから。
走るにはちょっと遅い時間だったし、気分転換もかねて車でふらっと出かけた。

その行き先が――忍城。

ライトアップをやっているらしい、というのは耳にしていた。
でも、まさかあんなに混んでいるとは思わなかった。
正直、「どうせ空いてるだろう」くらいの気持ちでいた。

忍城って、普段はすごく静かなんですよ。
休日でも人はまばら。
博物館が併設されていて、展示を見たあとに堀のまわりをゆっくり歩く。
風が抜けて、遠くで鳥の声が聞こえる。
そんな穏やかな時間が流れる場所。

だから「忍城=静かな城」という印象が自分の中ではずっとあった。
そのイメージを見事に覆された夜だった。


2.駐車場からすでに渋滞

現地に着くと、すでに異変を感じた。
駐車場の入口にずらっと車の列。
「あれ? ここってこんなに人気スポットだったっけ?」と、思わず口に出した。

普段ならスッと停められるのに、この日はまったく動かない。
5分、10分…やっとのことで駐車できたころには、もう辺りは人でいっぱいだった。

堀のまわりにはカップル、家族連れ、カメラを構える人たち。
キッチンかーがちょっとだけ出ていて、まるで地元のお祭りみたいな賑わい。
まさか忍城でこんな光景を見る日が来るとは。


3.人、人、人。そして光。

堀沿いの小道を歩くと、ライトアップされた忍城が視界に飛び込んでくる。
白く浮かび上がる天守。
そして、お堀に映る光の反射。

言葉を失うほどとは言えないが思った以上に綺麗だった。

ただ――人が多い。
本当に多い。

スマホを構えても、必ず誰かの頭や肩が入ってしまう。
人影が光の中に混ざって、幻想的というより「にぎやか」。
静寂と光で魅せるタイプのライトアップイベントではなく、
“みんなで見に来るイベント”という空気だった。

でも、あの熱気には不思議な心地よさがあった。
地元の人が集まって、みんなでひとつの場所を楽しむ。
小さな城下町全体が呼吸しているような、そんな温度を感じた。


4.普段の忍城が好きだからこそ、感じた変化

僕は忍城がけっこう好きで、過去にも何度か訪れている。
正直、城としての迫力でいえば他の有名城にはかなわない。
天守も鉄筋コンクリートで再建されたものだし、
「本格的な城好き」からすると“ちょっと物足りない”部類かもしれない。

でも、僕はあのこぢんまりした感じが好きだ。
派手さがない分、城下の生活や空気が想像しやすい。
堀の水面に風が立ち、夕方になると街灯がポツポツ点き始める。
その素朴さに惹かれて、何度も訪れてきた。

だから今回のライトアップは、まるで“いつも静かな友達が突然主役になった”ような感覚だった。
「おお、今日はずいぶん注目されてるじゃん」と、ちょっと嬉しいような、
でも「急に人が押し寄せて大丈夫かな」と心配になるような、複雑な気持ち。


5.のぼうの城との出会い

忍城といえば、『のぼうの城』。
この作品をきっかけに、僕は初めて忍城の存在を知った。

映画も何度も見たし、原作小説も読んだ。
成田長親(のぼう様)の独特な存在感、
そして「水攻めに屈しなかった城」というエピソードに心をつかまれた。

日本全国に数ある城の中でも、“最後まで落ちなかった”というのは強烈な個性だ。
あの時代に、北条方として徹底抗戦したこと。
それを支えた地元の人たちの誇り。

今回のライトアップであの光景を見たとき、
「この城は今も地元の誇りとして生きてるんだな」と感じた。
観光ではなく、地元の文化として根づいている。
それが何より嬉しかった。


6.戦国時代への違和感とロマン

僕は戦国時代の北条が好きだ。
小田原攻めについても、単なる「秀吉の勝利」で片づけたくないと思っている。
歴史は常に“勝者の視点”で書かれるけれど、
そこに描かれなかった人たちの想いを想像すると、歴史がぐっと立体的に見えてくる。

忍城の戦いもそう。
水攻めに耐え、最後まで落ちなかった。
それは単に戦術の勝利じゃなくて、「地元の人々が守り抜いた場所」という意味での勝利だと思う。

現代のライトアップの賑わいは、その精神の延長線上にあるようにも見えた。
戦の記憶が形を変えて、今は光となって街を照らしている。


7.写真はブレても、記憶は残る

今回、写真は正直うまく撮れなかった。
人影が映り込み、光がにじんで、構図も定まらない。
SNS的に“映える”写真にはならなかったかもしれない。

でも、実際にその場で感じた空気、音、温度――
それは写真では伝わらない。

子どもの笑い声、スマホを構える人たちのざわめき、
そして堀に反射する光が揺れるリズム。
その全部が「今この瞬間の忍城」だった。


8.歴史と今がつながる場所

忍城って、派手さはないけれど“地続きの歴史”を感じる場所なんですよね。
石垣の上に現代の光が当たり、人が笑い、写真を撮っている。
でも、その下には戦国の記憶が眠っている。

ライトアップは単なる観光イベントじゃなくて、
“過去と今をつなぐ儀式”のように見えた。
戦の舞台だった場所が、いまは人の笑顔で埋まっている。
それって、ものすごく平和で、そして尊いことだと思う。


9.地元の誇りとしての忍城

あの夜、印象的だったのは地元の人たちの笑顔。
「混んでるなぁ」と思いながらも、みんな穏やかで楽しそうだった。
まるで、“自分たちの城”を見に来ているような雰囲気。

他県から観光に来る人ももちろんいるけど、
中心にあるのは「行田の人たちの誇り」。
それが忍城の魅力だと思う。


10.まとめ:光の中にある「意地」

忍城ライトアップは、単なる夜景イベントじゃなかった。
あれは「地域の記憶が灯る夜」だ。

静かな忍城を知っているからこそ、
その賑わいの意味がよくわかる。
かつて水攻めに耐え、落ちなかった城。
その“意地”のようなものが、
現代では“地元の灯り”として受け継がれている。

混雑で写真がうまく撮れなくてもいい。
あの光と笑顔の中に、確かに忍城の魂を見た気がした。


📜あとがき

走ることが日常になっている僕にとって、
たまにこうして“立ち止まる夜”も悪くない。
走るだけじゃ見えない景色がある。

忍城のライトアップは、その象徴みたいな時間だった。
また静かな日にも行ってみよう。
夜の喧騒とは違う、風と水の音が響くあの場所へ。

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