1. 半年間の練習方針
富士五湖ウルトラマラソンまで、あと半年。100kmという距離は一見途方もなく感じられますが、ここで重要なのは「どのように走るか」ではなく「どう楽しむか」を意識した練習を積み上げることです。半年間の練習で体に染み込ませるべきは、スピードよりも耐力と回復力、そしてペースを安定させる感覚です。
ウルトラは、序盤に速く走ることよりも、後半まで一定のペースを保てるかどうかが勝敗を分けます。半年間の計画としては、平日は60分前後の練習で体を整え、休むことなく走り続けることで回復力を鍛え、週末には土日連続で距離を走って耐力を育てること。この2本立てを意識すれば、100kmを「苦行」ではなく「長い遠足」として楽しむ準備が整います。
また、練習の中心を「楽しめる範囲の負荷」とすることも重要です。無理にスピードを上げたり、平日から長時間走り込むと疲労が蓄積してモチベーションが下がります。ウルトラは体力だけでなく、精神的な余裕も必要な競技。半年間の練習計画は、疲労と回復のバランスを意識しながら、着実に耐久力を積み上げることが基本です。
2. 平日練習で回復力を鍛える
平日の練習は、Garminコーチに従った60分前後のメニューで十分です。テンポ走や閾値走、リカバリー走などを組み合わせ、無理せず、しかし効果的に体を鍛えることが目的です。ポイントは、練習後に疲労が残りすぎないようにすること。これにより、翌日の土日のセット練に向けて回復力を鍛えることができるのです。
回復力とは、ただ疲れが取れる能力だけではありません。ウルトラでは、走っている最中にも小さな疲労をいかにリセットしながら走り続けるかが求められます。平日の短時間練習で体を整え、心拍や呼吸をコントロールする感覚を磨くことで、長時間の走行でも疲れをため込みすぎない体を作ることができます。
また、平日の練習は精神面のトレーニングにもなります。短い時間でも集中して走ることで、フォームの安定や呼吸、ストライドの感覚を体に覚えさせることができ、土日の長距離で自然とイーブンペースを保てる力がつきます。
3. 土日のセット練で耐力を育てる
週末は距離を稼ぐセット練習です。土曜は20km、日曜は30kmを目安に、ペースはあえてキロ7:00/km前後に設定します。序盤はまだ脚が軽く、景色を楽しみながらフォームや呼吸の確認に使えます。日曜は土曜の疲労を抱えて走るので、後半の疲労や脚の重さを疑似体験することができ、ウルトラ後半の感覚を体に覚えさせることができます。
ここで大事なのは、距離や疲労を経験値として蓄積することです。ウルトラ本番では50kmを過ぎると、普段のフルマラソンとは全く違う脚の張りや心拍の上昇が待っています。土日のセット練を繰り返すことで、長時間脚を動かし続ける耐力と、疲労を感じながらもペースを維持する感覚を体に染み込ませることができます。
さらに、この練習でイーブンペースの感覚を養うことが重要です。序盤から飛ばさず、体感で「少し遅い」と思えるくらいのペースを守ることが、ウルトラでの安定走行につながります。セット練で体がこのペースに慣れると、本番でも自然にペースを保ち、疲労の蓄積を最小限に抑えられます。
4. 当日のペース戦略と関門対応
当日の目標ペースは7:00/km。イーブンで淡々と走ることで、疲労が少なく、最後まで脚が動くのが大きなメリットです。序盤にフルマラソン感覚で飛ばすランナーは多いですが、ウルトラでは50km以降に失速し、最終的に14時間近くかかってしまうことも珍しくありません。
イーブンペースで走るメリットは明確です。まず、疲労が少なく、後半も安定して走れること。さらに、途中でトラブルや補給のロスがあっても、練習で鍛えた回復力を活かして持ち直すことができるため、完走率も高くなります。序盤に突っ込むランナーより、後半で追いつき逆転する可能性もあるのです。
デメリットとしては、時間の貯金が作れない点があります。しかし、耐力と回復力を練習で養っておけば、多少の落ち込みは回復可能です。また、Eペースの誤解も注意点です。フルマラソン感覚で「楽」と思うペースは、ウルトラでは速すぎることが多く、序盤で脚を使い果たしてしまうリスクがあります。体感で「少し遅い」と思えるくらいのペースを体に染み込ませることが、序盤から後半まで安定して走るコツです。
5. イーブンペースで楽しむウルトラ
7:00/kmで走ればゴールタイムはおおよそ11時間40分前後。12時間切りも十分現実的です。序盤の快調さに惑わされず、淡々とイーブンペースで進むことで、関門も余裕を持って通過できます。途中でトラブルや疲労があっても、練習で養った回復力を使って持ち直せるので、疲れを感じながらも景色や土地を楽しむ余裕が生まれます。
無理に序盤から飛ばすランナーよりも、後半で追いつき逆転するチャンスもあります。半年間の練習で耐力・回復力・イーブンペースを身につけることで、ウルトラは「苦行」ではなく「長い遠足」として楽しめるのです。景色を眺めたり、補給のタイミングを調整したり、歴史や土地のことを学びながら走る余裕も持てます。これが、100kmを楽しみながら完走するための最適戦略です。

