朝から完全に「うどんの口」だった。
気温もちょうどよく、ドライブ日和。
こういう日は肉汁うどん。
頭の中がそれでいっぱい。
向かう先はときがわ町のうどん屋「高柳」。
あの“ロケーション最高”で知られるお店だ。
自然の中にぽつんとある、おしゃれな感じのうどん屋。
緑に囲まれ、空が広くて、癒されるあの場所。
今日こそ行こうと、車に乗り込んだ。
山の稜線がだんだん近づいてくる。
空の青が深くなって、空気が澄んでいく。
信号も少なくて、走るだけで気分がいい。
あとは美味いうどんを食べるだけ。
完璧な計画。…のはずだった。
■うどん屋「高柳」到着、まさかの定休日。
お店に近づくにつれて、あたりの雰囲気が静かになっていく。
駐車場もすぐそこ。
車を止めて、店の入り口を見た瞬間、目に飛び込んできた文字──「定休日」。
え?
定休日?
まさか今日じゃないよね?
何度も確認するけど、やっぱり“お休み”。
駐車場はがらんとして、風だけが通り抜けていく。
うわぁ…やってしまった。
なぜ、なぜ調べてこなかったのか。
よりによって“定休日”に来るとは。
しかもこのロケーションの中で。
山の緑と川のせせらぎが、逆に切ない。
「せっかく来たのに…」という言葉しか出てこない。


■自販機でリベンジなるか?
気を取り直して辺りをうろついていると、目に入ったのは「うどん」と書かれた自動販売機。
おっ、これはまさかの救世主か!?
一気にテンションが上がる。
このタイミングでうどんが出てくるなんて、もはや奇跡。
近づいて見てみる。
……違う。
これじゃない。
見た瞬間にわかる。
“今日食べたいうどん”とは違う。
それは「うどん」という名の何か別物。
いや、もう気持ちが完全に手打ちうどんモードなんだ。
冷凍じゃだめなんだ。
残念すぎるけど、諦めるしかない。


■とりあえずドライブ続行。
しょうがない。
せっかくここまで来たんだし、このまま帰るのももったいない。
「どこかでなにか食べよう」と、再び車を走らせる。
ときがわの町を抜けて、小川町方面へ。
道の両脇に広がる田んぼが黄金色に光っていて、秋を感じる。
車の窓を少し開けると、涼しい風といっしょに稲の香りが入ってきた。
こういう瞬間って、何でもないのに幸せになる。
しばらく走ると、「道の駅おがわまち」の看板が見えてきた。
あ、ここ聞いたことある。
たしか“和紙のまち”の道の駅。
よし、ここに寄ってみよう。
腹も減ってきたし、ちょうどいい。
■「道の駅おがわまち」に到着。めっちゃきれい!
駐車場に入った瞬間、思わず声が出た。
「きれい!」
建物が新しくて、木の香りがしそうなほど整っている。
どうやら最近リニューアルされたらしい。
正直、リニューアル前を知らないけど、それでも「めっちゃきれいになってる」と言いたくなる。
広い館内、明るい照明、清潔感たっぷり。
“道の駅”というより“おしゃれなローカルモール”といった感じ。
地元の野菜、お土産、工芸品がきれいに並んでいて、見ているだけで楽しい。
■名物は「薄皮あんぱん」。
名物コーナーに行くと、目を引くのが「薄皮あんぱん」。
どうやら小川町の特産である“和紙”にちなんで、“薄皮”にしたらしい。
なるほど、そういうストーリー。
ただ、そのあんぱん、びっくりするほど大きい。
そして、値段を見てさらにびっくり。
なんと3,000円。
もはやスイーツの領域を超えている。
まるで芸術品のような存在感。
確かに名物にふさわしい。
ただ、うどんを食べる予定で来た人間にとって、
3,000円のあんぱんはちょっと気持ちの準備が足りない。
写真だけ撮って、ひとまず見送り。


■おしゃれな食堂へ。
お腹はすでに「早く何か入れろ」と騒ぎ始めている。
周りを見回すと、併設されたおしゃれな食堂が目に入った。
木のテーブルと観葉植物。
照明も柔らかくて居心地がいい。
メニューもおしゃれ。
「うどん」発見。さらに美味しそうな定食もずらり。
どれにしようか迷っていると、目に飛び込んできたのが「焼き豚丼」。
しかも「おすすめ!」の文字。
オススメに弱いんです、こういうとき。
口は「うどん」だったはずなのに。
迷った末に、焼き豚丼を注文。

■「焼き豚丼」とお味噌汁。
運ばれてきた瞬間、香ばしい香りが広がる。
タレが照りっとしていて、肉が柔らかそう。
味噌汁がセットでついているのが嬉しい。
まず一口、お味噌汁をすすってみる。
……うまい。
いや、そこ!?と思われそうだけど、本当に美味い。
出汁がちゃんとしていて、油揚げが絶妙にうまい。
地味なようでいて、こういう一品にお店の丁寧さが出るんだよなぁ。
焼き豚丼も安定の美味しさ。
タレが濃すぎず、肉の旨味がしっかりしている。
ただ、期待しすぎたぶん「普通に美味い」で落ち着く感じ。
でも、空腹を満たしてくれただけで十分満足。
この瞬間、「うどんの口」もようやく納得してくれた気がした。

■平日なのに大盛況。
それにしても、平日なのにすごい人。
食堂もほぼ満席。
観光客もいれば、地元の人も多い。
やっぱり人気なんだな、この道の駅。
外に出ると、あんぱんの売り場には長蛇の列。
どうやら焼き上がりの時間が決まっていて、時間指定で販売されるらしい。
焼きたてを求めて並ぶ人たちの熱気がすごい。
でも、さすがに並ぶ気力はない。
今日はうどんから始まって、すでにいろいろあったから、
これ以上の行列はちょっと遠慮したい。
ということで、あんぱんは次回リベンジ。
■まとめ:結果オーライの一日。
結局、目的のうどんは食べられなかった。
でも、偶然寄った小川町の道の駅が想像以上に良かった。
清潔で、雰囲気が良くて、地元の魅力が詰まっている。
ここはまた来たくなる場所だ。
次回こそ、うどん屋「高柳」にリベンジ。
そして、あの3,000円のあんぱんも。
そんな次の楽しみを残して、今日のおでかけは終了。
うどんから始まって、焼き豚丼で終わる。
なんだかんだで、悪くない。
むしろ、“予定どおりにいかない日”のほうが、
ちょっとだけ記憶に残る。
帰りの車内、満腹で少し眠くなりながら、
「今度はちゃんと調べて行こう」と小さく反省。
でも、またきっと同じことをやらかすんだろうなと、
自分でもなんとなくわかっている。

